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「春にして君を離れ」

アガサ・クリスティー
早川書房
¥ 630
(2004-04-16)
"absent in the spring" (春にして君を離れ)
超私好みなタイトルが気になってて、いつか読もうと思っていた小説です。
アガサ・クリスティが別名義で書いた小説ですが、殺人もなけりゃ犯人もいない、
静かな小説です。

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。
結婚してインドに渡った娘の病気見舞いを終えて、バグダッドからイギリスへ帰る途中、
女学校時代の友人と偶然に再会する。
憧れだった友人は、おちぶれて、身を持ち崩していた。それにひきかえ、と彼女は考える。自分の境遇は申し分なく満ち足りている―・・・。

しかし、友人との再会とそこでかわされた会話は、彼女の心に影を落とす。
なんだか友人の目には、私のことがそこまで幸せそうにも、羨ましくも映らないようだ。
なんだかとてもひっかかる。どういうことだろう?
彼女は、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…。


物語の中で、彼女の息子は言います。「お母さんって、誰のこともちっともわかっていない気がする」と。
「彼女の中の自分自身像」と「他の人が見た彼女」の姿には、ずいぶんズレがあるようで、物語がすすむうちに、そのズレがだんだんはっきりとしてきます。

正直こんな女にはなりたくない、と私は思います。
まあしかし、はっきり言えば、主人公のような女の人はたくさんいるのではないかなあ。
自分にもあり、自分の母親にもあり、私のまわりの女性たちにも、多かれ少なかれこういうところはある気がします。女ってこんなとこあるよね、って感じです。
クリスティは、冷めた目でそれを見つめています。その容赦ない描写が痛快でもあり、恐ろしくもありますが・・・。ラストもすごいですね。

いろいろ自分のことも考えさせられますが(笑)、本当におもしろくて、完成度の高さはすごいです。うまく伝えられないのが残念ですが、とてもおすすめです。
クリスティー文庫のこのジャケも好きです。英国人(かどうか知らないが)もこの草履みたいな形のサンダルをはくんですね。ヴァカンスでしょうか。ワンピースにさらっと合わせると格好いいですね。真似はできないけど。
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