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「ティファニーで朝食を」

トルーマン・カポーティ
新潮社
¥ 1,260
(2008-02-29)

村上春樹訳の"Breakfast at Tiffany's"
なんといっても、装丁が素晴らしいです。ティファニー・カラーに、金の縁取り。
うっとりです。これだけで手元に置いておきたくなります。
文庫が出ましたが、どうして同じデザインにしてくれなかったんだろう・・・と
残念です。まあ文庫版もデザイン素敵なんですが。

映画をずいぶん昔に見たような気がします。
記憶はおぼろげながら、なんだかヒロイン、ホリーのイメージが、
小説と映画とではずいぶん違いました。
小説のホリーは、オードリー・ヘップバーンのように清楚な雰囲気ではありません。
もっと奔放で、はすっぱな、でも人を惹きつける女の子として描かれています。

ホリーは若くて綺麗で華やかで、野心にあふれています。
人間関係も少々派手で、彼女のアパートの部屋にはいつも人が集まってパーティー。
同じアパートに住む、駆け出しの小説家の「僕」も、ホリーの魅力に参ったひとり。
奔放な彼女に振り回されつつも、友達として彼女を支えたいと思っています。
「僕」は、ホリーのパワーの源は、若くて綺麗で、生命力にあふれているがゆえだと
思っていたのですが、
少しずつ彼女のバック・グラウンドが明らかになるにつれ、彼女を動かしているエネルギーが、
明るいものだけではないということに気がつき始めます。

読み終わったとき、一抹の哀しみのようなものが心に残りました。
ホリー・ゴライトリーという女性は、結局、"Drifter"なのです。
一箇所にじっとしていることができない。もっと遠くを見たい。
もっと楽しいことをしたい。そしてそれを自分で止めることができない、
言わば精神的な放浪者です。
男性にはけっこうよくいます。例えば、極端な例ですが、「紅の豚」のポルコ。
男の人ならいいのです。「いつまでも少年のようだ」と、それが魅力だと言われるでしょう。
ただ、女の、若くて美しい女性の放浪者は、孤独です。
いつか若くなくなって、誰もまわりにいなくなることが怖くてたまらない。
一人でいるのは死ぬほど寂しいけれど、誰かに縛られたりするのは耐えられない。
だから、他人から見たらめちゃくちゃなことをしでかしてしまう。

「いつもそこにいるだけで幸せになれる、ティファニーみたいな場所があれば、
私も落ち着いて生活したり、猫に名前をつけたりできるのにな」
と彼女は言います。

小説のラストシーン、「僕」が見つけた小さな希望が、胸をあたためてくれるような気がしました。


BGM: 「鎌倉物語」 サザンオールスターズ

原由子の声を聴いてると、あんみつとかくずきりとかが食べたくなる。

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