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「わたしたちが孤児だったころ」

 「わたしを離さないで」がとても衝撃的だったので、
続けてイシグロ作品を読んでいます。

これは1900年はじめの上海が舞台。
上海の租界で、貿易商の父、美しい革命家の母とともに、
おぼっちゃんとして暮らしていたクリストファー・バンクスは
両親の謎の失踪により10歳で孤児となる。
イギリスに戻り、成長して探偵になった彼は、日中戦争が勃発し
混迷をきわめる上海へ舞い戻り、両親失踪の謎を、自分の手で
解き明かそうと決意する・・・。

「わたしを離さないで」と同じく、主人公の独白体で物語は
進んでいくのですが、どうにもこの主人公の語る事実が不安定な
気がして、読み進めるにつれて、「ほんとにそうなのかいな?!」
と不穏な気持ちがどんどんつのっていき・・・。
なので、読み終えてほっとしました(笑)

小説としてももちろん面白くてひきこまれるのですが、
ちょっと壊れた主人公に語らせることで、
小説の枠組みが、読み手にはよくわからなくなる怖さとか、
主人公の見ている世界と現実が混じりあうシュールさとか、
そういう「読み心地の悪さ」を表現するのは、すごいなあと
感嘆しました。


もうひとつ付け加えると、村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」
を思い出しました。
どちらも「失われた過去を取り戻す」話で、設定も趣も違うのに、
わたしを「こちらがわ」につなぎ止める存在がいたりするところも
ちょっと似ています。
「わたしを〜」の読後も思ったのだけど、この二人の作家の
作品にはどうも根底に似たところがある気がして、
なんだか気になっています。


とりあえず、「わたしを離さないで」にくらべると、
やや手強かったという印象です。
いちばん最初に読むにはおすすめしないけど、やっぱり
おもしろい!うまい!!と思いました。

次は「日の名残り」にいこうと思います。
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