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小説と音楽と日々

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2011年の10冊

 2011年の1冊
「サイダーハウス・ルール」ジョン・アーヴィング

この本は読むのは二度目だったのですが、数年前に読んだときよりも
さらにもっと好きになりました。自分の人生が変化したことで、
より深みを知った小説でした。
ラーチ先生、そしてメロニィという二人の人物がとても素晴らしい。
生きているということは素敵なことだとしみじみ思える、
今の人生のベストの一冊です。

以下、ベスト10冊(2位〜10位)

2011年は女流作家の小説が面白かった一年でしたが、
中でも一番心に残りました。シロクマのクヌートが主人公の小説で、
この小説が出版後、奇しくもクヌートは突然亡くなってしまいました。

今村夏子さんのデビュー作。すごい新人が出てきたものだと
本当にびっくりしました。同時収録の「ピクニック」も面白い。

9.「予告された殺人の記録」G・ガルシア・マルケス
10.「海の仙人」絲山秋子

こんな感じの1年でした。
最近は子どもの遊び相手をするのに追われて、なかなかパソコンも開けず、
読んだ本の感想を書く余裕もないですが、また少しずつでも
更新していきたいです。

2012年もどうぞよろしくお願いします!




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2010年ベスト本


2010年の一冊

「オン・ザ・ロード」ケルアック

一見むちゃくちゃな若者たちのヒッチハイクの旅の記録。
青春の乱暴さ、スピード感、そして輝きが胸を打つ小説でした。
この小説を読んでいる間、大学生の頃とその後の数年間を痛烈に思い出していました。
あの頃と変わっていないと思っていたけれど、それなりに年をとり、
仕事に打ち込んで、結婚して、家族を持ち、生活の重みを知るうちに、
私もいつのまにか遠くまで来てしまったのだな、と、ふと思いました。

忘れがたい一冊です。表紙の写真がとても好きです。

■ ■ ■ ■ ■

ベスト5冊

「マシアス・ギリの失脚」池澤夏樹
■「灯台へ」ヴァージニア・ウルフ
「岸辺の旅」湯本香樹美
「横道世之介」吉田修一

「灯台へ」は、鴻巣友季子さんの新訳で読みました。
読んでいるときは、すっげーだらだらした読みにくい話だと思っていましたが、
読後はいつまでも余韻が消えませんでした。
頭の中でぼんやりと考えていたことや、目に映った意味のない風景が、
そのまま文章になったような小説です。時間の流れが美しいです。

「岸辺の旅」も、読んだ直後よりも、時間が経つにつれ、
印象が深くなった一冊です。
文章が綺麗で、情景が物悲しいです。

■ ■ ■ ■ ■

一年を振り返って印象に残った5冊を選んでみました。
毎年10冊選んでいるのですが、今年はあまり冊数が読めていないので、
5冊にしました。
また来年も良い本との出会いを楽しみにしています。

今年も一年お付き合いありがとうございました。
2011年が、皆様にとって素晴らしい一年となることをお祈り申し上げます。

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Book of the year 2009

2009年 今年の1冊

「本格小説」

2009年に読んだ本の中から、いちばん面白かった10冊を選びました。

その中でベストは、水村美苗「本格小説」
昼ドラマのように入り組んだ人間関係、そして戦後〜昭和の終わりまでを舞台にした
ドラマチックな恋愛にページをめくる手が止まりませんでした。
誰にでもおすすめできる、とにかく物語に夢中になれる一冊です。
すごく面白かったです。

■ ■ ■

(以下2位〜9位)

2. 「ガープの世界」ジョン・アーヴィング
登場人物が魅力的すぎて泣ける。「ホテル・ニューハンプシャー」と同じくらい好きです。

3. 「八番筋カウンシル」
津村記久子の最新作。
地元商店街で育った若者たちの群像小説。
今まででいちばん面白かったし、不思議な魅力を持った小説でした。

4. 「バビロンに帰る」スコット・フィッツジェラルド(村上春樹翻訳ライブラリー)
表題作の「バビロンに帰る」は、胸にくるものがあった。
素晴らしい短篇ぞろいの一冊。

5. 「ベルカ、吠えないのか?」古川日出男
イヌっていいなぁと思った。この小説を読んでる間、イヌのことばかり考えていた。
文章もタイトでかっこいいので、町田康や村上春樹好きにもぜひ。
ナンバーガール向井秀徳もこの小説のファンらしい。

6. 「それから」夏目漱石
「行人」も良かったです。

7.  「この世界の片隅に」こうの史代
今年完結。すごかった。すごかったとしか言いようがないマンガでした。

8.  「死者の奢り・飼育」大江健三郎
初期の短編集。人間のひやっとするような内面を描いた
切れ味の鋭い作品ばかりです。大江作品の中では、かなり読みやすいです。

9.  「月と六ペンス」サマセット・モーム(光文社古典新訳文庫)
光文社が新しい訳で出したものを読みました。訳は土屋政雄ことツッチー。
ツッチーが訳している小説は、たいてい面白いです。 

10.  「サイダーハウス・ルール」ジョン・アーヴィング
ラーチ先生の優しさと、りんご園の風景が心に残ります。
映画もおすすめです。

■ ■ ■

今年はこんな感じでした。

その他、音楽や小説に関する出来事で心に残ったことは、

・ミッシェルガンエレファント・アベフトシ死去
・最後の第三の新人、庄野潤三死去
・津村記久子、芥川賞受賞
・ユニコーン再結成
・フジファブリック・志村正彦死去

今年は悲しい報せが多かった。
特に自分でも意外なほど、アベフトシの死は悲しかった。
青春の一部分を失ったような気持ちになった。
フジの志村くんは私と同じ年だったし、若い人が死ぬのは、
なんともやりきれない気持ちがする。

そんな中で、おっさんになったユニコーンが、元気にかっこよく活動しているのを
見ると元気が出る。世の中はみんな励まされているのではないだろうか。

来年は明るい年になりますように。

 

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BOOK OF THE YEAR 2008

よつばのクローバー2008年の1冊よつばのクローバー

「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ

「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ

今年の1冊はこちら。
前作の「停電の夜に」が、冷たい感じがしてあまり好きではなかったのですが、長編のこちらは素晴らしかった。
ロシアの小説家の名前にちなんで名付けられた「ゴーゴリ」という青年が、なぜそんな不思議な名前をつけられたかという由来と、そしてそんな奇妙な名前をつけられた後どのような人生を送るか、を描いた小説です。家族というものの絆や意味を、ほれぼれするような展開で物語にした素晴らしい1冊です。今年は映画化もされましたね。
いま最新作の「見知らぬ場所」を読んでいるところですが、こちらも面白いです。

■■■

ベスト10

「秘事」河野多恵子
ここ数年でいちばん泣いた本でした。この夫婦はとてもうらやましい。

「ミュージック・ブレス・ユー!」津村記久子
「君は永遠にそいつらより若い」津村記久子
今年の発掘は、津村記久子でした。彼女の今まで出ている本は全部読みましたが、この長編2作が飛びぬけて良いです。あと、短篇の「Everyday Write A Book.」も大好きでした。
「ミュージック〜!」のほうは、映画「ゴーストワールド」っぽいなーと思っていたら、やはりお好きなようです。「影響されてる」とインタビューでおっしゃっていました。雰囲気が似ているので、お好きな方にはおすすめです。

「細雪」谷崎潤一郎
朝の連続テレビ小説、最初は惰性で見ていたけども、毎日見ているうちに楽しみになって、最終回では大好きになってしまって、もっともっと続きを見たかった。そんな感じです。ものすごく長いんですが、終わったとき本当に寂しかった。生きておられたら続編を書いてほしいです。

「罪と罰」ドストエフスキー
内容が濃く、そして重いのでちんたら読んでいましたが、やはりすごかった。人生は重く苦しいときが必ずあるが、そんなときに人を救う本だと思った。

「百年の孤独」G.ガルシア・マルケス
南米というのはまったく文化が違う場所なんだな、とあらためて思った。南米が舞台の映画「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観たときもそう思ったけれど、重苦しいことが起こっても、人々は力強くて明るい。自然や神様の存在が人間に近い土地なんだろう。そこがとても魅力的だった。

「あの愛はいま」ドラープキナ
学年最後の年にクラスで起きた盗難事件と、それをきっかけに崩れた人間関係を、大人になったクラスメイトたちが振りかえって語る…という形式で話が進んでいきます。ロシアの児童文学ですが、大変面白かったです。ずっと読みたかった本で、図書館でやっと見つけたのも嬉しかった。面白かったので先日とうとう買ってしまいました。

「海は知っていた」キャサリン・パターソン
静かなのに、なんだか妙に心に残る本でした。翻訳も良かった。

「群棲」黒井千次
隣同士、そしてその向かいの4軒の家と、そこに棲む人たちの生活を淡々と描いた連作。まるで自分の近所のことが書かれているかのようなリアルさで、読み進むうちに、だんだんこの4軒のことが気になって仕方なくなりました。薄ら寒いような、少し怖い小説でもあります。

■■■

今年は以上の10冊です。
相変わらず感想を書いているのは、ほとんど小説ばかりですが、
なにか読む本に迷ったときに、手がかりにしてもらえれば嬉しいなあと思います。
本以外のものを挙げれば、「ぐるりのこと。」という映画が本当に素敵だったです。

一年間見ていただいてありがとうございました。
暗いニュースも多いですが、来年も皆様にとって良い一年となりますように。
良いお年をお迎えください。


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book of the year 2007

結晶2007年 今年の1冊結晶

わたしを離さないで

「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ

今年はなんと言ってもカズオ・イシグロでした。そのなかでも最初に読んだ
「わたしを離さないで」は、衝撃的な面白さでした。ここ何年かで読んだ中で
一番おもしろい本だったと思っています。こんなおすすめ本なかなかないです。
ただ個人的には、「女たちの遠い夏」がすご〜く好みなので、かなり迷いました。
「女たちの〜」は、あまりに好きすぎて感想が書けなかったくらいです(笑)
私にとって大事な大事な1冊となりました。

「遠い山なみの光」カズオ・イシグロ
「女たちの遠い夏」(改題→)「遠い山なみの光」

■ ■ ■ 

結晶ベスト10結晶

「臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ」大江健三郎
70歳すぎてなんと前衛的。生きること、とりわけ芸術への憧れを抱えて生きることに
ついて、いろんなことを考えさせられた。
2章までは集中力を要しましたが、そのあとはジェットコースター読みでした。

「しずかな日々」椰月美智子
これは、なんとも胸がいっぱいになった小説です。少年の輝く夏休みと、
その後の物語。最後が好きです。ほんとに素晴らしいと思う。

「バレエダンサー」(上・下)ルーマー・ゴッデン
ルーマー・ゴッデン本当に好きです。世界の見方とか、人の見方とか、
子どもの頃からずっと、この人の作品に影響されてきたことを、あらためて
感じます。亡くなってもう読めないのが悲しい。

「金毘羅」笙野頼子
今年は四国に縁があった。これを読んだのは3月くらいで、夏には実際に
四国金毘羅参りができました。すごい階段できつかったけど、また参詣したい
です。というわけで、おそろしくぶっ飛んだ小説でした。主人公は金毘羅です。

「金毘羅」笙野頼子

ジャケットがかっこいい。

(△愨海)


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book of the year 2007

ベスト10続きです。

「悪人」吉田修一
今年出た新刊の中ではベスト3に入ります。「パレード」もすごく面白かったけど、
さらに力の入った作品です。私は、最後まで犯人が悪いと思えなかった。

「楢山節考」深澤七郎
読後どんどん存在感が大きくなった。口減らしのための姥捨ての話で、
テーマは暗いはずなのに、明るくカラッとしている。
うまく説明できないのだが、ものすごく大きくて美しい小説。
他にこんな小説はないと思う。

「黄色い目の魚」佐藤多佳子
絵を描くこと、描かれることを通して、二人の心がどんどん惹かれあう
のが素敵だった。17歳ならではの、こんな恋愛はうらやましい。
そういえば7月と8月、この小説の感想記事に、相当検索がかかっていました。
読書感想文の課題だったのかな。

「爆心」青来有一
これを読んで、来年は長崎に絶対行こうと思った。夏がいいな。

「よつばと!」あずまきよひこ(コミック)
今一番好きなマンガ。5歳児よつばがむちゃくちゃかわいい。
ゆっくり時間が流れるマンガで、第一話が夏休みの初めの日で、
今9月の半ばになりました(7巻)。私はジャンボのファンなので、
彼が遊びにくる回のときは嬉しい。


■ ■ ■

今年もたくさんいい本に出会うことができました。
少しずつですが感想も載せることができて、読んでくださった方には
感謝しています。
このブログが、本との出会いの何かの手がかりになれば幸いです。
来年もよろしくお願いします。よいお年を!


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■上半期ベスト本■

早いもので7月です。上半期に読んだ本のベスト5を選んでみました。
数えてみたら、文芸書だけでだいたい50冊くらい読んでました。
で、その中から新刊、既刊にかかわらず、1位から5位です。


1. 「女たちの遠い夏」カズオ・イシグロ
(改題「遠い山なみの光」)
2. 「わたしを離さないで」カズオ・イシグロ

今年前半は、カズオ・イシグロに尽きる、という感じです。
「わたしを離さないで」(感想こちら)が、あまりにも、あまりにもおもしろかったので、全作品一気読みしました。けっこう実験的にいろんな手法で作品を書かれる作家なので、人によって好きな作品は違うかもしれません。
わたしの周囲では「日の名残り」を好きだと言う人が多いです。

マイ・フェイバリットは、文句なしに「女たちの遠い夏」でした。
戦後まもない長崎を舞台とした、ある女性によるひと夏の回想記です。
個人的には、改題された「遠い山なみの光」よりも、旧題の「女たちの遠い夏」のほうが好きです。原題「A Pale View of Hills」には、改題後のほうが近いですね。
人にすすめるときは「わたしを離さないで」→「日の名残り」の順でおすすめしたいです。村上春樹好きにもおすすめです。なんかこの二人には、通じるものがあると思うのですが・・・。


3.「黄色い目の魚」佐藤多佳子

佐藤多佳子もよかったです。金原瑞人が「12歳からの読書案内」というガイド本で激プッシュしてたので、この作品から読んでみました。
(感想はこちら
高校生に戻ったときの気持ちで、本当に感情移入しまくって読みました。木島くんという絵の上手い男の子が格好よすぎて・・・好きになりそうだった。危ないよー。

映画になった「しゃべれどもしゃべれども」も、とっても面白かった!こちらのほうが、キャッチーで万人受けしそうですが、「黄色い目の魚」のほうが、私は読後もずっと余韻が残って、ぼんやりしてしまったりして、それも含めて大好きな小説でした。
まだ三作しか読んでないので、これから順々に読んでいきます。楽しみです。


4.「金毘羅」笙野頼子

わたくしなんぞが笙野頼子を語るのはおこがましいです。とにかく気合が入ってますね、この小説は。ほかの作品は怖くてまだあまり読んでません(笑)
主人公が金毘羅の生まれ変わり(どんな設定だろ)、という女性のアーカイブ。冗談のように上手い文章と、徹底した戦闘姿勢。たるんだ文壇に喝だ喝!この方ほど「文士」という言葉が相応しい作家はいない気がします。

(参考↓エキサイトブックス現代作家ガイド・笙野頼子)
『純文学作家。表現の前衛で戦うアヴァンギャルド。その勇姿は「笙野の前に道はない、笙野のあとに道はできる」と、ファンを常にしびれさせる。』
というわけで、面白い(すごい)小説でした。今まで読んだどの小説にもまったく似ていない、唯一無二の存在というのは、すごいことだと思う。


5.「暗渠の宿」西村賢太

これがベスト5ってどうなんだろう・・・。でも面白かったのでしょうがない(流行)。
今世紀入ってから、この主人公(ほぼ作者投影)ほど腹立たしいダメ男にはお目にかかったことがないですが、こいつの気持ちはちょっとよくわかります。女と酒とお金と暴力と、最後に藤澤清造(注・主人公の敬愛する大正時代の作家。実在するらしいが、聞いたこともないぞ)。ほんとダメです。
収録の「けがれなき酒のへど」のほうが、よけいにおもしろいです。「暗渠の宿」ではダメ男に恋人ができ、その扱いがあんまりなのでムカムカします。


* * * *

こんな感じになりました。1位、2位はダントツです。5位まで全部イシグロ作品でもいいくらいです。
読み終わって「うきゃー面白かったー」と思った本でも、しばらくして振りかえってみると、あんまり心に残っていなかったり、またその逆も然りです。

ちなみに、今年出た新刊の中で面白かったのは、やはり「ロング・グッドバイ」。そして「また会う日まで」(柴崎友香)

今年の後半も、おもしろい本にたくさん出会えたらいいな、と思っています。
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